相続税の公示制度の是非

6月24日の日経新聞記事を紹介します。「昨年4月に自宅の火災で69歳で亡くなった漫画家の横山光輝(よこやま・みつてる、本名=光照)さんの課税対象となる遺産が約11億2000万円に上ることが24日、豊島税務署(東京)の公示で分かった。主な遺産は作品の著作権や不動産とみられ、長男と長女の2人が相続。相続税は約4億3000万円とみられる。横山さんは1956年から連載した「鉄人28号」が爆発的なヒット。「仮面の忍者赤影」「魔法使いサリー」などの作品を発表した。中国史の劇画にも取り組み、「三国志」「項羽と劉邦」などを連載した。」

このように現段階では所得税と同じように、相続税でも高額納税者の公示が各税務署で行われています。その関係で相続税申告後に多くの納税をした方という情報が一般の人にも分かるようになっています。政府税制調査会でも公示制度については検討されています。

「現在、所得税法人税相続税等について設けられている公示制度は、主として第三者による監視という牽制的効果を狙うものとして、昭和25年に導入された。所得税については昭和58年に高額納税者への顕彰の趣旨も兼ねて所得公示方式から税額公示方式に変更されている。同制度については、所期の目的外に利用されている面があるなど個人のプライバシーへの配慮の観点からは問題なしとしない。その一方、制度変更により、国民一般から見て申告納税制度の信頼度が低下することは好ましくない。公示制度の存廃については、高額納税者が社会的に評価されることの重要性を踏まえつつ、これに代わる制度を含め、今日的視点から検討する必要があろう。」

2005年の12月には何らかの結論が出るかもしれません。まずはこんな記事が目に付きます。「 政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は2005年5月17日の記者会見で、高額納税者を公示する「長者番付」について廃止を含めた見直しを検討すると表明した。早ければ2006年度の税制改正で見直す考えをにじませた。公示制度は所得税額が1000万円を超えた納税者の名前や納税額を公表する仕組み。毎年、5月中旬に国税庁が発表。04年分の約7万5000人は今月16日に公示された。高額納税者の顕彰や所得をきちんと申告しない納税者についての情報を集めるという目的もあり、「所得に比べ納税額が少なすぎる」といった内部告発が寄せられることがある。しかし、高額納税者を対象にした誘拐などの犯罪が発生したり、訪問販売の標的となることがあり、「プライバシー保護が重要だ」として政府税調では数年前から見直し論議が続いていた。石会長は「税調で廃止論者が多数派となった」とし、6月にまとめる所得税についての報告書に縮小・廃止の提言を盛り込む考えだ。」

記:資産家を応援する相続・相続税の専門家:天野隆。404。(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)

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