あげたのか?立替えたのか?

生前、被相続人が相続人に交付した10億円が相続財産になるかどうか静岡地裁(富岡章裁判長)は被相続人から相続人に対する生前贈与と認定するとともに、相続開始前3年内の贈与にも該当しないため、相続税の課税対象財産にもならないことから相続税の納税義務もないと判示、原処分を全部取り消しました。

この事件は、被相続人が生前(相続開始5年前)、株取引資金に係る借入金の返済資金として相続人の一人に交付しました。 原処分庁は贈与契約書の作成がなく、相続人が知らないままに交付されたものであり、被相続人と相続人との間で贈与の合意があったわけでもなく、立替金として相続財産に入ると主張しました。

これに対して判決は、被相続人が生前、相続人に返還請求をせず、また相続人は返還請求されたとしても返済するだけの資力はなかったと認定して、贈与として相続財産に入らないとしました。

あげたものか、立替えているものか、これによって相続財産になるかどうかが決まります。あげたものなら相続財産になりません。立替えたものでは相続財産になり課税の対象になります。実務ではいつも問題になるところです。

記:資産家を応援する相続・相続税の専門家:天野隆。402。(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)

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