事業承継対策が変わります!! その3

(3) 民法の特例
(ア) 内容
民法の特例は2つあります。
1つ目は、贈与株式等を遺留分算定の基礎から除外できる制度です。先代経営者が生きているうちに、後継者へ株式等を贈与した場合に、贈与株式等を遺留分算定の基礎から除外することで、遺留分に関わる紛争を未然に防ぐことができます。
2つ目は、贈与株式等の評価額を予め固定できる制度です。先代経営者が生きているうちに、後継者へ株式等を贈与した場合に、遺留分算定の財産に加算される贈与株式等の評価額を予め固定することで、贈与後の株式価値の増大による遺留分の上昇を防ぐことができます。
なお、手続きについては後継者が単独で行うこととなるため、当事者全員が個別に申立てを行うことが必要である従来の遺留分放棄に比べ、非後継者の手続きは簡素化されることになります。
(イ) 適用要件
(先代経営者の要件)
• 特例中小企業者(中小企業者のうち、一定期間以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する会社)の元代表者又は現在の代表者であること
• 推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者のうち被相続人の兄弟姉妹及びこれらの者の子以外のものに限る。)に株式等を贈与したこと
(後継者の要件)
• 先代経営者の生前に、経済産業大臣から確認を受けた「後継者」が遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けること
• 先代経営者の推定相続人であること
• 株式等を先代経営者から贈与により取得したこと
• 議決権の過半数保有していること
• 特例中小企業者の代表者であること
(ウ) 適用時期
本制度は、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の公布の日から1年以内に施行されます。

以上、新設される法律の内容を説明させて頂きましたが、制度の拡充により中小企業者、経営者、後継者が有利になるケースが増えることは間違いないと思います。ただし、その制度が複雑、煩雑であるがため、制度がうまく活用できない経営者等も出てくると思われます。後で後悔しないためにも、早めの事業承継対策を行い、不明な点は専門家の力を借りることが得策になるのではないかと考えられます。



記:資産家を応援する相続・相続税の専門家:税理士法人レガシィ 柴田健次 1427
(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)
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