50年ぶりの相続税大改正 その3

平成20年度税制改正与党大綱で「新しい事業承継税制の制度化(平成20年10月予定)にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。」との記載がありました。遺産取得課税方式とは、個々が取得した財産に応じて相続税額を計算する方式です。
課税方式が変更されるとどのような影響があるのでしょうか?主に影響があると考えられる規定を列挙してみます。
(1)基礎控除
(2)小規模宅地等の減額
(3)連帯納付
では、それぞれの規定について考えてみましょう。


(3)連帯納付について
 本日は本題に入る前に、相続税のもう一つの課税方式である遺産税方式についてお話しましょう。
遺産税方式とは遺産全体を課税物件として課税する方式です。個々の相続人に対して、取得した財産の額に応じて累進税率は適用されず、財産の全体に累進税率が適用されます。この方式は遺産分割の仕方によって全体の税負担に差異が出ません。この方式を採用しているのがアメリカ・イギリスです(ちなみに遺産取得税方式を採用しているのは、ドイツ・フランスです。)。
さて、ここからが本題です。現行の連帯納付義務の規定については同一の被相続人から相続等により財産を取得したすべての者は、その相続等により受ける利益相当額を限度として互いに相続税の連帯納付義務を負うこととされていますが、期限に関する規定がないため、相続人全員が完納しない限り連帯納付義務がつきまといます。
 しかし、連帯納付の立法趣旨は遺産税方式(遺産全体に課税する方式)を前提とされていると思われるので、遺産取得課税方式に変更されれば、立法趣旨が成立しなくなり、自ずと規定そのものが不要になると思われます。


記:資産家を応援する相続・相続税の専門家:税理士法人レガシィ 石垣克己 1406
(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)
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